コンサートスタッフの7つ道具が入る!
機能的でスタイリッシュなサコッシュ
7月に入り、夏フェスの季節が到来!
イベントごとは楽しみがいっぱいですが、1日中立っていたり、長距離を歩かなくてはいけなかったりで、けっこう体力を使いますよね。だからこそ、荷物はコンパクトが基本。
今はサコッシュと呼ばれるコンパクトなショルダーバッグが人気ですが、荷物が入りきらなかったり、素材が頼りなかったりと、なかなか満足のいくものが見つからない。
「実用的かつ、デザインもシンプルで服に合わせやすいサコッシュはないかな」…と思っていたら、濃紺に赤のファスナーがおしゃれなサコッシュを発見しました!
これはコンサート音響や映像を手掛けるヒビノ(株)が開発した「ヒビノ×横濱帆布鞄 オリジナル・サコッシュ」です。PAや映像のスタッフが実際にコンサート現場で使っているもの。これはかなり頑丈そう!
サコッシュの製作に携わったのは、同社の経営企画本部で働く粕谷智江さん。ツアーで忙しいコンサートスタッフに時間をこじあけてもらい、打合せを重ねて現場の声を形にしてできたという小型ショルダーバッグ。丈夫かつシックなデザインのため、粕谷さん自身もプライベートで訪れるライブへ持っていくほどの愛用品になっています。
このサコッシュには、どんなこだわりがつめこまれているのか、お話を伺いました。
スタッフの使いやすさを追求
「スタッフはペンチやニッパー、カッター、メジャー、ガムテープなど、仕事でさまざまな道具を使っています。会社が支給している道具箱もあるのですが、実際に作業するときは、肩にかけることができる小型バッグを利用しているということがわかりました。」
スタッフの話から、バッグのタイプは最近人気のサコッシュでいこうと決めたそうですが、現場で重宝されるものにするために、どんなシチュエーションでどんなニーズがあるのか等、粕谷さんは現場スタッフに度々話を聞いたそうです。
「街でよくみかけるサコッシュはナイロン製のものが多く、ヒビノの現場には不向き。工具入れとしても使えることを考えると、丈夫な生地を使うことは必須条件でした。」
粕谷さんは、当初からコラボレーション先のメーカーは、迷うことなく「横濱帆布鞄」に決めていたそうです。海上自衛隊の船舶やテントに採用されている森野艦船帆布を使った鞄を作っている「横濱帆布鞄」。防水・耐光・耐塩・防炎に優れた森野艦船帆布は、厳しい現場環境でスタッフが使うには理想の素材でした。
さらに、単なるサコッシュではない、ヒビノの視点を持ったバッグ作りを目指し、スタッフへのヒアリングを重ね、現場の要望を吸い上げていきます。
「こちらが全く予想していなかった要望に、カラビナを装着することができるループ(輪)がありました。それも一つではなく複数欲しいと。皮手袋やガムテープなどいちいち中身を取り出すのが面倒な道具を、カラビナという金具をループに取り付けてぶらさげておいて使うそうで、カラビナループは必須ですと。」
製作にあたっては、横濱帆布鞄の鈴木社長から、さまざまアドバイスを頂きながら進めたそうです。スタッフが実際に使っているバッグの中身の写真を見せて、大きさやマチの幅等の仕様を検討していきました。最初のサンプルは縦長タイプ、横長タイプの2種類で、音響・映像のスタッフ数名にモニターとして数か月間試用してもらい、さらに現場の声を集めたそう。
ニッパーやメジャーなど、スタッフのカバンにはたくさんの道具が!
世に出ることのなかった、幻の縦型サコッシュ
実際の現場で使用したスタッフからは率直な感想があり、いろいろな発見があったとか。
「絶対に外ポケットが欲しいという意見が出ました。当初、個人的には反対でした。サイズや形から幼稚園バッグを連想してしまい、子供っぽくなってしまうのではと思ったからです。とは言え、『ペンや行程表を入れたい!』との意見を尊重し、ヒビノ10訓のひとつ「現場主義」に従って、最終的には外ポケットを付けました。確かにいちいちジッパーを開けて確認するのは面倒、使いやすくないですよね。横濱帆布鞄の鈴木社長に現場の意見、私の意見を話したところ、『ボタンをつけてみては』というアイデアをいただき、今のタイプに決まりました。デザインも大人っぽくまとまったと思います」
コンサートの黒子が使うサコッシュ
一番の特徴は、丈夫な素材。横浜・かもめ町の森野帆布船具工業所の特殊な帆布生地を使用しています。この森野艦船帆布は、日本で初めて開発されたビニロン繊維。帆布の両面に防水性を有した塩ビコーティングを施し、さらに耐光・耐塩・防炎処理加工された特殊生地で、屋外の現場などハードな環境にも十分耐えることができます。
今回の制作で、粕谷さんが改めて知ったのは、実際につけてみることの大切さだそう。とくに色選びに関しては、実際に身につけてみないと分からないことだらけだったとか。
「バッグ本体の色はすぐに決まりました。現場でのスタッフの服装は「黒」が基調。スタッフたちは、目立つことを好みません。とは言え、黒の洋服に黒のバッグではあまりに味気ないので、本体はあえて濃紺に。サンプルは、ステッチを明るいブルー、ファスナーの色を黒と赤の2種類で作ってもらいました。スタッフの多くが黒ファスナーを好みましたが、私としては、ぱっと見てヒビノのバッグとわかるインパクトが欲しく、「赤」と「ブルー」を効かせたタイプでいきたいと考えていました。「赤」と「ブルー」を選んだ理由は、ヒビノのロゴに使われているカラーだからです。」
最終的には、スタッフを説得するため、実際に赤・黒ファスナー両方のカバンを身に着けてもらい、写真を撮って見比べてもらったそう。黒ファスナーのバッグは洋服の黒に埋没して、バッグを付けていることすらわからなくなっている写真を見て、赤ファスナーのバッグに納得してくれたということです。また、サンプルの段階では、ポップな明るめのブルーだったステッチも、最後の最後に、今の深みのあるブルーに変更を決めたそう。常に冷静沈着に職務をこなすスタッフのイメージを表したく、ポップなカラーはイメージに合わないと判断し「ロイヤルブルー」という落着きのあるカラーが採用されました。こんな経緯で、サコッシュではあまり見かけないシックな色味と特別感が生まれたのだと知りました。
またサコッシュのサイドには、コラボレーションの証として横濱帆布鞄とヒビノのロゴがついています。
「ヒビノのロゴをカラーにするか、白抜きにするかは、現場の意見を尊重しました。実際に使う人たちがいいと思うものでなければ使ってもらえないですから。バッグに紙で切り抜いたロゴを貼りつけ、見比べができるよう写真を撮り、音響チームと映像チームのメンバーに多数決をとってもらいました。結果、本当に僅差で白抜きのデザインに決まりました。」
「ライブへ行くときに愛用しています」
このサコッシュは現在ヒビノのスタッフが使用していますが、粕谷さんもプライベートで活用しています。
「私は今の仕事に関わるようになって、ライブへよく行くようになりました。そんなときに、このサコッシュが大活躍してくれています。お財布や携帯電話、ちょっとしたお化粧道具、時には傘も入れちゃいます。開口部を広くしたので、中身が取り出しやすい。何より身軽に動けるので重宝しています。」
さらに落ち着いたデザインとカラーなので、Tシャツなどラフな服装はもちろん、通勤着などにも合いそう。ハンドメイドで1つ1つていねいに作られているのも魅力です。
サコッシュの今後の展開や新商品の予定は?
「次に作る時は内ポケット作ろうと思っています。現場から強い要望がきてまして。このサコッシュは、当社のコンサートスタッフだけでなく、音楽フェスやスポーツ観戦等、さまざまなシーンで多くの方に使ってもらいたいと思っています。その視点も加えて、少しずつバージョンアップしていきたいですね」
ヒビノ×横濱帆布鞄 オリジナル・サコッシュ
