おうちライブハウスを楽しむ3つの方法

2020年は、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の影響で、東京オリンピックの開催延期を筆頭に、音楽ライブ、フェス、観劇、スポーツ観戦など多くのイベントが中止になった一年でした。そんな中、一気に普及したのが、無観客配信ライブという新しいライブ形式。筆者自身も、軽井沢の森から無観客でボサノヴァの配信ライブや、トークイベントの配信の仕事をしましたが、ネットワーク配信インフラや機材、ソフトウエアの進歩もあって、あらためてコンシューマーの機材で高画質、高音質で配信できることに感動した一年でした。

観客としてもロックバンドの配信ライブや、お笑いのコントライブなど、いろんな配信ライブを楽しんだのですが、音楽ライブについては、やはり、その場の臨場感により没入するには、映像以上に音質が大事だと気づきました。

そこで、自宅の仕事部屋で配信ライブに気持ちよく浸れる「おうちライブハウス」環境を構築してみました。ちなみに自宅の仕事部屋は和室で、座椅子で座るような環境(笑)。
とても、おしゃれな場所ではないのですが、テレワークが増えたこともあり、主に映像編集やオンラインミーティングをやっている場所です。

もちろん、映像から楽しみたい場合は、配信映像をテレビやプロジェクターの大画面で再生して、ホームシアターシステムで音を出すのがいいと思います。しかし、人によっては他の家族の迷惑だったり、夜中に音を出せないということも。そこで、今回は、自宅スペースで個人的に楽しむデスクトップオーディオの環境をつくって、自分の好きなタイミングで「おうちライブハウス」を楽しむ方法をご紹介します。


その1:ヘッドホン
これまで、配信ライブを視聴するときには、ライブらしい大きな音で聴きたいこともあり、スピーカーではなく、主にヘッドホンを使っていました。装着感が軽くて、外部の音も聞こえるオープンエアタイプのヘッドホンは音楽を聴きながら仕事するときなどに使っているのですが、やはりオープンエアなので外に音が漏れるし、外の音が聞こえてしまうこともあって、配信ライブには向かないと感じていました。
仕事用に密閉型の業務用モニターヘッドホンもあるのですが、映像編集や撮影のときのサウンドチェックに使うだけあって、その情報量の多さに配信ライブを長時間聴くにはちょっと辛い。

そんな中、こういうご時世ということもあってか、最近では配信ライブ用というヘッドホンが登場してきました。そこで、今回、その中のひとつを入手してみたのですが、これがなかなかいい。業務用のモニターヘッドホンをベースに配信ライブ用にチューニングされたものですが、イヤーパッドも左右非対称で耳へのフィット感も良く、長時間の使用でも疲れにくい形になっているのも嬉しい。
音のキャラクターは、業務用に比べて低域の情報量を抑えて、聴きやすくしつつ、中高域のギターやボーカル、サックスなどの輪郭は、モニターヘッドホンよりもくっきりして、前に出てくる感じで、全体的にスッキリした印象。そして驚いたのが、かなり音圧があること!ボリュームのつまみの位置で言えば、業務用が2時の位置ならば、こちらは12時ぐらいで同じ音量に聞こえます。配信ライブは、音量が低めのことがあるので、これはなかなかいい感じです。


その2:DAC(D/Aコンバーター)
なかなか一般には馴染みの薄いものですが、せっかくデスクトップオーディオ環境を構築するなら、できれば用意したいのが、PCとUSB接続して使う「USB D/Aコンバーター(DAC)」。元々は、レコーディングスタジオの機材としてアナログであるマイクロフォンなどの機材から、デジタルレコーダーに「アナログ→デジタル変換するA/Dコンバーター」と、デジタルレコーダーからアナログのアンプやスピーカーから音を出して聞くための「デジタル→アナログ変換するD/Aコンバーター」に分かれていたこともあり、今も録音向けのA/D機能に特化したものと再生向けのD/A機能に特化したものの2つに分かれています。
PCもスマホも中身はデジタルですから、チャットや電話用のマイクやイヤホンのために、このD/Aコンバーターは内蔵されていますが、用途としては音楽用というより通話などの音声用なので、音質はやはりそれなりです。専用のDACとPCやスマホのヘッドホン端子と音質を聴き比べると、左右の音の広がりや低音から高音までの広がりなどの違いに驚かされると思います。配信ライブでのライブの空気感や演奏のリアリティをより感じるためにも、ぜひ揃えたい機材です。

上の写真、2段積んでいる下の機材がハーフラックサイズのレコーディング用DAC。コンパクトながら、ファンタム電源付きのバランスマイク入力があり、USB給電のみで動作して電源が別にいらないなど、これ1台でデジタルレコーディングができるので撮影の現場で使っています。
上が再生用のDAC。再生専用だけあって、いろいろなデジタルのフォーマット変換に対応しており、一般的なCD音質の16bit/44.1khzからハイレゾの32bit/768khzだけでなく、DSDフォーマットも変換できます。配信ライブはネット環境さえ許せば、CD音質以上のハイレゾ対応のものもありますから、こういう再生専用DACがあるとより良い音で楽しめるのでおすすめです。


その3:モニターとブラウザ
配信ライブ環境でやはり大事なのが映像の部分。自分の場合は、デュアルディスプレイの2画面に同じ映像をミラーリングして出したほうが、没入感が増します。両方同じなのになぜか広がりを感じるので、2画面お持ちの方は、ぜひお試しください。配信ライブの中には、2つのチャンネルを使って、違うアングルから配信しているものもあり、そのときには2画面で別々の画面を表示させて楽しんでいます。


そして最後に、映像を見る上で大事な情報をひとつ。

配信ライブは、YoutubeLiveを使うことが多いのですが、Youtubeは視聴するブラウザによって音質が変わることをご存知無い方が多いかと思います。
MacならばSafari、WindowsならばEdgeが標準のブラウザなのですが、実はGoogleのChromeを使った方が、配信のクオリティが良いのです。どう違うのかという技術的な話は難しくなるので割愛しますが、違いはYoutubeの画面を左クリックすると出てくる、以下の画面の詳細統計情報で、音と映像のコーデックの種類をみることでわかります。

下の画像は、上がMacのSafariで見たときの情報、下がChromeの情報です。

Codecsの表記に映像と音声の圧縮方式が表示されているのですが、avc1.640028(137)は映像の圧縮方式で上下は同じですが、その後ろ、mp4a 40.2(140)と、opus(251)と上下で異なっているのが音の圧縮の仕様です。下のChromeに表示された、opusはmp4aよりも広い音域を持っています。両者の違いを知りたい方は、opus mp4aで検索してみてください。

自宅でライブを楽しむ3つの方法をご紹介しました。

まだまだ巣ごもり状況が続きますが、是非この機会にデスクトップオーディオ環境を整えて、大好きなアーティストのライブを自宅で思いっきり楽しむ「おうちライブハウス」で「Stay Home」を楽しく過ごしましょう。


ta_z8
横浜生まれ。80年代はCM音楽制作&楽器メーカーの開発業務にかかわり、90年前半は映像制作 とゲームの企画制作、95年以降はWEBコンテンツをつくり、2012年に長野県に拠点を移し、行政や地元企業PVや観光映像制作、各種イベント企画運営などを生業にしています。